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Original Pignose 7-100
Guitar Player誌 1977年

MESA/Boogie SANTANA Guitar Player誌 1981年

Greco EGF-1200

Sunburst Lady 1981年

Mosrite Japan 70's

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店主の部屋 別館@やりたい放題散らかし放題

アルダーボディに魅せられて 96年 YAMAHA Pacifica 604W

購入動機は偽りなく表題どおりで、カタログを見た瞬間にヤラれたという私(店主)にはたいへん珍しいパターンとして記憶に残っています。

ボディがアルダー材のギター自体は珍しいものではありませんが、ナチュラルフィニッシュとなると特別で、殆ど実例を知りませんでした。

何故ならストラトのラインナップを例に挙げると、標準がアルダー材であっても、ナチュラルやブロンドのフィニッシュは木目が映えるアッシュ材(国産だとセン材も多かった)というのが半ばお約束でしたから…

面白いのは YAMAHA 96年のカタログにおいて、この Pacifica 604W以外にも、アルダー材のナチュラルフィニッシュが、ギター、ベースの両方で見られることです。この当時の流行だったのでしょうか?

残念ながら Pacifica 604W においては、翌年のカタログからナチュラルフィニッシュが見られなくなってしまいました。私個人としては好みなのですが、何となく上品でインパクトが弱いような感じも受けます。

特徴というか “売り” は、何といってもミドルクラスというカテゴリーの中で、トレモロユニットに Wilkinson VS-100、ペグに Sperzel製と最新かつ当時最先端のブランドパーツを装備したことでしょうか。

ギターの仕様は、概ね上級機種の 904 に倣っていますね。

コンセプト:

店主の手元にある 1996年版カタログにおける 604W の紹介です。


ボディ:アルダー・ナチュラル おそらく 4ピース

ナチュラルフィニッシュにして 4ピースは多い部類と思いますが、たいへん上手に継いでいる箇所があって、パッと見には 3ピースです。

カタログの画像ではかなり赤みを帯びてオレンジ色のようですが、素材としてのアルダー材は、むしろカタログ画像の方がイメージですね。

Fender Custom Shop の取材記事で、ストラトのサンバースト塗装の工程を紹介していましたが、下地処置の段階で、アルダー材をブリーチ(漂白)していました。それくらい実際は赤みの強い材(が多い)なので、この個体の色調をアルダー材の素の色と思わない方が良いです。

ネック:メイプル・ワンピース、ローズウッド指板


ストラトのスモールヘッドの流れを汲んでいますが、過去の SJ 等とも異なる新しいデザインが採用されています。全体に平面が強調されていて、エッジのラインはかなりシャープです。

塗装は艶消しのサテンフィニッシュ。手触りはスベスベして良いのですが、使い込むとテカテカに変わること、清掃でも磨けない(同様にテカテカになる)ことから、使い始めからそれを意識する必要があります。

ご存知のとおり、6連の Sperzelペグは 6弦 → 1弦に向ってストリングポストを低くすることでテンションピン(ストリングリテイナー)を不要としていますが、本機の場合は 2弦と 1弦にローラー式のリテイナーが設けられて、テンションのバランスをサポートしています。

トラスロッドの調整穴もヘッド側にありますが、独特な形状のカバーによってふたをされています。それ自体は良いのですが、ふたもネジもどちらのパーツも小さいので、調整時の紛失には注意してください。

ペグ:米国製 Sperzel Trim-Lok 6-in-line

上記と若干重複しますが、スパーゼル・トリム・ロックという説明不要なほど著名かつ優秀なロック式のペグが標準装備されています。画像のとおり、6連の Sperzel ペグは 6弦 → 1弦 に向ってストリングポストを低くすることでテンションピン(ストリングリテイナー)を不要とする、画期的な機構を備えています。ロトマチックペグの重量を解決したアルミ製の軽量な本体に12:1の精密なギアを内蔵しています。サテンクロームの落ち着いた色合いと耐久性を兼ね備えた外観も画期的かつ魅力的でした。

ちなみに Sperzel ブランドは、社長・開発者の Bob Sperzel 氏がその由来で、米国オハイオ州クリーブランドで創業し現在に至っています。

当時の彼へのインタビューは、文末の参考文献にてご確認ください。

Sperzel ≒ スパーゼル ≒ シュパーゼル → 文献によって訳違あり

ピックアップ:Live-GS5(シングル)、Live-GS5WS2(ダブル)

全機種ではありませんが、YAMAHA Pacifica の特徴でもある Wシングルを配置した S-S-H レイアウトです。PUは全て AlnicoⅤ スタガード

私の世代だと、Wシングル ≒ ロビー・ロバートソン の愛器のイメージに直行してしまうのですが、彼の場合はミドルをリアに寄せているレイアウトなので、Pacifica とはあまり似ていません。何となくです…。

見たところでは4個ともほぼ同じシングルボビンで、アルニコⅤのスタガードポールピース仕様です。N-Top とか S-Top とかは弦側の極性で私(店主)が調べたもの。全て互い違いの配列で構成されています。

これらは極性は異なっても同相のため、リバースワインディングです。

つまり隣どうしのピックアップの配線を、シリーズ or パラレルいずれにしても、ハムキャンセルが可能なように構成されているのです。

この配置をどう料理しているのか?にもたいへん関心があり、入手時に真っ先に確認した箇所のひとつでもあります。詳細はサーキットにて。

サーキットとセレクタースイッチ:5-Way(4-pole 5-position)の謎

4-pole 5-position と書くと煙に巻いたみたいになってしまいますが、日本語だと 4回路 5接点俗にいう「スーパースイッチ」と同内容の特殊スイッチです。

5-Way ではありますがストラトの5段階とは異なり接点が独立した完全なロータリースイッチであるため、ハーフトーンという中間点は使えない構造となります。

この YAMAHA 特注のスイッチは、VLX53 形の発展形でもあります。

さて肝心のサーキットの中身ですが、予想外にシンプルな展開だったので、逆に驚いてしまいました。4回路 5接点 を使ってまでするか…

<ノーマル時 → 一般的な、S-S-H のオートマチックコイルタップ>

・フロント(シングル)

・フロント+ミドル(ハムキャンセルのパラレルハーフトーン)

・ミドル(シングル)

・ミドル+リア(ハムキャンセルのパラレルハーフトーン)

 ※リアのS極側のみ作動のオートマチックコイルタップ

・リア(Wシングルでのハムバッカー)

<スペシャル時 → トーンポット・プッシュアップ>

・フロント(シングル)

・フロント+ミドル(ハムキャンセルのパラレルハーフトーン)

・ミドル(シングル)

・ミドル+リア(ハムキャンセルのパラレルハーフトーン)

 ※リアのS極側のみ作動のオートマチックコイルタップ

・リア(リアのS極側のみ作動のシングル)

ノーマルとスペシャルで異なるのは、リアをハムバッカーかシングルとして使えるかの違いのようです。つまりスペシャル時にはレバー操作だけでシングルが使えるという、S-S-S になるわけですね。う~ん…

私(店主)的にはいろいろ案も出せそうですが、これはこれで良しか。

と思ったら、2001年カタログに下記の解説が記載されていました。

自由度の高い部品を設定してあるのでご自分なりにということですね!

●4回路 5点・スイッチ(4Ple 5P-Selector SW)→ 原文ママ

 一般的にエレキギターに使われているセレクタースイッチは2回路の

 ものですが、端子(Pole)を2組増やして4回路にすることで、回路

 設計の自由度が増し、より多くのサウンドバリエーションを持たせる

 ことが可能です。

トレモロユニット:ノーマルは、米国製 Wilkinson VS-100

換装された Gotoh製 VS-100S
換装された Gotoh製 VS-100S
オリジナル Wilkinson Made in U.S.A.
オリジナル Wilkinson Made in U.S.A.

購入時には、オリジナルの Wilkinson VS-100(米国製)が搭載されており、評判どおりの革命的にスムースなアクションと、豊かなサスティンに大いに満足することができました。しかし使っているうちに、弦間ピッチの不安定さが気になり出したのです。これは VS-100 の特徴でもあった「弦間の調整も可能である」という機能が裏目に出て、演奏中にサドルが左右に動いてしまうというアクシデントが発生したのです。

画像右の右側がオリジナルの Wilkinson VS-100(米国製)。左側がテレキャスター用の HT-100T ですが、このように固定ネジを軸に振れてしまうのです。あまりきつく締め過ぎて折損を招いてしまうと一大事ですから、力加減にも限界があってほとほと困り果てていました。

専用パーツであるうえにインチ規格であることも…

すると救世主的にライセンス品の Gotoh VS-100S が製品化され、これに飛びついたのは言うまでもありません。こちらは弦間 10.8mm の固定ピッチですが、プレートに溝が設けられているおかげでサドルの振れは払拭されています。そして U.S.A.製とそのまま置換できたのもありがたいところ。ライセンス品だけあってネジ類もインチ規格という徹底ぶりです。これもオリジナルのために揃えた工具が流用できました。

おそらく、もうこれらの U.S.A.製 Wilkinson を見る機会もないでしょうから、登場時を偲ぶサンプルとして保管してあります。

ちなみに Wilkinson ブランドは、社長・開発者の Trevor Wilkinsonがその由来で、1982年にオーストラリアで創業し米国に移っています。

当時の彼へのインタビューは、文末の参考文献にてご確認ください。

その他①:最後の雄姿@ステッチの劣化したソフトケース

当面は活躍してもらえるはずでしたが…
当面は活躍してもらえるはずでしたが…
触るとホロっと紛壊してしまいます
触るとホロっと紛壊してしまいます

今回、予定外に取り上げるきっかけとなったのが、収納していたソフトケースに経年劣化が生じていたことでした。ヘッドの辺りを掴んで持ち上げただけなのに、掌(てのひら)が真っ黒に汚れてびっくり仰天!

ホコリの汚れと違って真っ黒な粉塵が付着したので、これは尋常ではないと点検したら、画像のようにファスナー周りのステッチに経年劣化が起きていて、触れた先から崩壊したことで急きょ廃棄を決定した次第。

内装に至ってはとてもきれいで惜しかったのですが、やむを得ません。

まぁ20年以上(もっとか!)使いましたので仕方ないと言えばそうなのですが、楽器関係の用品にはあまり経年を意識しないことが多かったので、後ろ髪を引かれる思いです。ただ忠告として、特にアジア製の樹脂パーツの経年劣化にはくれぐれもご注意を! ギグバッグのショルダーベルトがいきなり断裂して、ケースごとですがギターを落下させた知人がおりました。ギターは無事でしたが、驚天動地だったそうです。

その他②:スーパー・プレイアビリティ・ジョイント

Pacifica 固有の仕様ではなく RGX等にも採用されていますが、ヒールレスジョイントを思わせる大胆なカットを施されたネックジョイント部は、抜群のハイポジ演奏性を体感できます。

あえて「その他」に持ってきたのは、Pacifica の項では触れられていないのです。この名称も RGX の項から持ってきました。そしてその後のカタログでも、このジョイント部については触れられていません。

Guitar Graphic誌 Vol.8(1998年)に YAMAHA Pacifica の特集が組まれていましたが、そこで紹介されていた上位機種のジョイント部にもこの方式は採用されていませんでした。一過性の仕様なのでしょうか…

店主評:

広告に偽りなく、ミドルクラスを超越する秀逸なモデルと感じました。

ノーマルの時点で過不足は感じませんでしたし、ピックアップ等のパーツ交換も特に思い浮かびませんでした。強いて難を言えば、指板のRが緩いため、ピックアップのポールピースはスタガードでなくフラットでも良かったのではないかと感じたくらいでしょうか。このギターについてはトータルバランスみたいなところを感じるので、やみくもにピックアップ交換に走るのもどうかと思わせるところがあります。

セッティングやワイヤリングで攻めるべきと言うところでしょうか。

当時の話ですが、Pacifica では既製品と並行して、ワーモス製の材をメインにオーダーメードできる枠組みが始まっていました。

私もこの Pacifica 604W の仕様をベースにプランを立ててオーダーも試みたのですが、スケールはレギュラー(25 1/2インチ)のみということで断念したというのが、今となっては思い出話です。2026 June 30

参考資料:YAMAHA カタログ

・Electric Guitar & Bass '96 Spring to Summer Edition

参考文献:ギター・グラフィック 第2号 ルシアー・インタビュー

     ボブ・シュパーゼル:リットーミュージック刊

参考文献:ギター・グラフィック 第3号 ルシアー・インタビュー

     トレヴァー・ウィルキンソン:リットーミュージック刊