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Original Pignose 7-100
Guitar Player誌 1977年

MESA/Boogie SANTANA Guitar Player誌 1981年

Greco EGF-1200

Sunburst Lady 1981年

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店主の部屋 別館@やりたい放題散らかし放題

追悼… ミック・ラルフス:店主と Greco MRシリーズ

ニュースで ミック・ラルフス/Mick Ralphs 氏が逝去されたとの報に接し、また一人、記憶に残る名ギタリストが旅立たれてしまったことに寂しさを感じているところです。70年代のロックシーンを牽引されたお一人と言っても過言ではなく、心からご冥福をお祈りします。

さて ミック・ラルフス 氏は バッド・カンパニー での演奏活動と併行し、国内では Greco MRシリーズのエンドーザーとしても著名です。

エンドーザーと言っても、正式なライセンス契約があったかどうかは把握しておりませんが、彼の MRシリーズを演奏する雄姿が 70年代中期の Greco のカタログや専門誌の広告を飾っていて、それに魅了されたご同輩も大勢おられたのではないでしょうか?

※シグネイチャーモデルとも言えず微妙ですね。Duncan JB みたい。

当時10代の店主も例外ではなく、Greco のトップラインとして扱われていた MRシリーズは、いつかは手元に置きたい憧れのギターでした。

その機会は意外にも早く訪れ、バイトに精を出していた70年代の後半に、楽器店の中古ギターコーナーにて待望のご対面を果たすことができたのでした。それも MR-800 と MR-600 の2本同時に!

時は GOシリーズのデビューで人気が沸騰していた時期と重なり、2本

とも今日では考えられないほどのロープライスが付けられていました。

しかし学生身分の私には2本まとめてという財力は無く、選択を迫られた次第。「クレジットがあるじゃないか?」という声が聞えてきそうですが、当時のクレジットの手続きの面倒くささをご存知ありませんね?

ただ試奏することで、選択はあっけなく MR-600 に決まりました。

比較的小柄な店主には、MR-800の長いネックが扱えなかったのです。

ミディアムスケール(24 3/4インチ)のギターと高を括っていましたが、あれ程とは(泣)。それに比べて MR-600はちょうど良い塩梅。

ミック・ラルフス氏の体格には遠く及ばない人間の嘆きでした(笑)。

かくしてそれ以来、店主は MR-600のオーナーになれたのでした。

既にモデファイ直前で、弦を外した状態です。すみません。
既にモデファイ直前で、弦を外した状態です。すみません。

MR-600 というギター:

専門誌や奈良史樹氏のご生前のインタビューでも述べられておりましたため詳細には述べませんが、MRシリーズのセカンドクラスという位置づけにはありましたが、MR-1000 と MR-800 の改良版も兼ねていたということが伝わっています。やはりヘッドが遠くにあったことでバランスに難ありというところは、既に方々から評価されていたのですね。

そこで 24フレット → 22フレット にすることでバランスを改善。

差別化のために P90タイプのピックアップと 3ピースメイプルトップにして、セカンドクラスに落ち着けたというところでしょうか?

※P90タイプのピックアップがセカンドクラスとは思いませんが…

これからは、店主の私物 MR-600 についての所感。

当初は特に問題点も感じませんでしたが、次第にいろいろと…

1.ブリッジ(BR-2020)が歪み始めて、調整が難しくなってきた。

2.ピックアップ(PU-104)の上面が弦と平行でないことが、どうも

  気になる。

前者は歪みが酷くなる前に、バダスタイプに交換して解決。

後者は解決のしようもなく、悶々として数十年を使い続けました。

※その他、ポットやジャックの経年劣化は問題とは言えませんね。

※当時の Gibson SG 等が、そうした(ピックアップの上面が弦と平行

 でない)仕様であったことで、問題視されていなかったのでは?

さて、イジリ~♪:

後者の解決への転機は、意外なきっかけで訪れました。

当工房で X-mas Guitar を 2ミニハムバッカー仕様 にモデファイした際に入手した、P90 のキャビティにミニハムをマウントするためのエスカッションで、対角線上にビス止めするという変わった方法です。

ただ画像のとおり MR-600のフ

ロントピックアップのキャビティは驚くほど深く、そこにネックのジョイント部が中央に盛り上がっているという様相です。

これを「ディープジョイント」と紹介した文面もみられましたが、そうではありませんね。

本当のディープジョイントであれば、ボディとネックを接合してからピックアップのキャビティを加工するはずですので、こうはなりません。

これではエスカッションに付属していたネジでは全く届かず、フロントピックアップを取り付ける段階で、挫折してしまいそうになりました。

そこで考案したのが画像のサポーター。つまりキャビティ内でエスカッションに下駄をはかせてしまおうという方法です。ついでに思い付いたのが、今回はボディへの無加工を徹底しようという、つまりサポーターの取り付けは元のピックアップをマウントしていたネジ穴を全て流用し、新しい穴は一切開けないという “無加工の掟” です。さぁ最後まで貫き通せるでしょうか?

何回かの試行錯誤で、フロント用のサポーターが無事に出来上がりました。ネックエンドには元のピックアップのマウントベースを固定していた穴とネジをそのまま流用しています。

上の画像に出てきた謎のアクリル板は、キャビティ内の前後に

軽く貼り付けてあります。つまりこれでエスカッションを傾斜させ、ピックアップの上面を弦と平行にしてしまおうという目論見です。

実はサポーターを作るより、この高さ調整の方がよほど大変でした。

リアピックアップのキャビティ内は平面に掘り下げられていて、フロントほどは起伏がありません。

しかし何故か深さはそれなりにあって、それなりに対応させたサポーターが必要なことに変わりありませんでした。そこで画像のようなサポーターを現物合わせで製作しましたが、これはネジ穴の位置をしくじってしまいました(苦笑)。

調整を繰り返して、まぁこんな感じに落ち着かせました。

エスカッションを傾かせるためのアクリル板も別途製作しますが、こちらはもっと大変で、フロントとの流れを自然に見せるという細工が付帯します。

それとフロントもそうでしたが

ピックアップからのワイヤー(コンダクターケーブル)がスムースに通せるという条件もクリアさせておかなければ、後で泣きを見ます。

話は前後しますが、まぁこんな感じです。フロントのエスカッションは仮固定し、リアの方の高さ調整をしているところですね。高さが決まればエスカッションを仮固定して、この工程は完成です。

実はこの時点でワクワク感が止まらなくなってしまった店主です。

ピックアップの装着に進みたい気持ちをグっとこらえて、次なるはブリッジの選択です。

左側がオリジナルで、微妙に湾曲しているのがお分かりだと思います。微妙であってもバイスでの修正はご法度です。

材質自体が経年劣化しているため、悪くすると割れてしまったり脆くなってしまいますので。

中央はこの時?のために確保していた “改良版 BR-2020” で、僅かに低いこと、サドルに弦の溝が切られていない点で見分けが付きます。

右側はこれまで代用してきたバダスタイプ。無難なのはこれかな?

とも思ったのですが、少しでも軽量にという願望もあったので、買い置きの Wilkinson GTB というPRSタイプのアルミ製ラップアラウンドブリッジを試すことにしました。たとえ合わなくても、この部位の交換は楽なのがありがたいですね。ちなみに PRS との相違点は、サドルの一部が調整できること。PRS ではナットとブリッジが相対的に設計されているため、サドル調整は不要とみなされていますが、既製のギターにその法則は通用しないための対策ですね。

ここで次なる下準備。ペグを固定する木ネジの1本が、中で折れてしまっていました。

これはこのギターを所有してから初めて知ったダメージだったので、ちょっとショックです。

でも全体を組み上げてからだと作業がたいへんになってしまうので、直すなら今のうち。ドリルの刃先をネジの残部にしっかり命中させ、少しずつ慎重に削り取って行きます。時々先端を拭き取って、僅かに注油しながらという根気勝負。鉄粉が出なくなり木くずに変わったところで切削は終了。僅かに太い穴を開けてから丸棒を打ち込みます。

ちょっと傷痕が拡がったようにも見えますが、ペグを付けることで隠れてしまうので、問題ありません。木ネジの折損はマホガニー材等では珍しくありませんが、木目の締まったメイプル材ではあまり起きません。

ここからはギアが入ってしまったので、一足飛びに完成画像です。

その他の変更箇所と言えば、ブリッジを固定するスタッドをロック式に変更したくらいですね。上からねじ止めする機構のため見た目は多少変わりますが、効果は抜群です。アジア製でも結構良い部品があります。

ビフォーアフターです。モデファイしたという形跡がほぼ見られないというところ。そして元に戻せるというところが及第点でしょうか?

どことなく Greco SV-1200 というセミアコに空似のような気も。

サウンドは、良い意味での別物に変わってしまいました(笑)。

店主は改めてこのギター愛に目覚め、毎日のように弾いています。

そしてミック・ラルフス氏のことを思い出さないことはないでしょう。

忘れるところでした。懸案のピックアップ上面と弦を平行にするという課題は、ちゃんとクリアできています。苦労の甲斐がありました。

                         2025 June 24

参考文献:主に P90 とミニハムの搭載状態について

・ギブソン・ゴールドトップ・プレイヤーズブック

 :リットーミュージック刊

追記:これをご覧になった方で、所有される MR-600 への同様のモデファイを承ることは可能です。ただし作例で用いた対角線にビス穴のある特殊なエスカッションの入手が困難で、現状では海外のサイトでの購入となってしまいます。またサポーターも現物合わせの製作となってしまうため、ある程度の費用は見込まれてのご相談をお願いいたします。