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*懐かしのギャラリー

Original Pignose 7-100
Guitar Player誌 1977年

MESA/Boogie SANTANA Guitar Player誌 1981年

Greco EGF-1200

Sunburst Lady 1981年

Mosrite Japan 70's

The Ventures Model

Gibson P.A.F. の、派生モデルを追う

調べて分かる範囲で Gibson ハムバッカーの数々

前項では「PATENT APPLIED FOR」を起源とする オリジナル・ハムバッカー「Gibson P-490」の変遷を追って、まとめてみました。

基台とした資料が GM誌1995年9月号の「Gibson SG History」という特集からで「ギブソン・ハムバッカー仕様年表」についても SG に使用されたハムバッカーが何種か登場していますが、オリジナル・ハムバッカーの系譜では無いという理由で、前項では採り上げませんでした。

ここでは、その “非主流?” とも言うべき派生モデルについての検索をまとめてみることにしました。こちらには一貫した資料が殆ど見当たらず、カタログや断片的な紹介記事を頼りにするしか無さそうです。

予め前提を書いておきますと、ミニ・ハムバッカーや、P-490 の前身となる P-90(こちらはシングルコイルですが)については、高野順氏による詳細な研究が発表されていることから、そちらをご参照いただくことをお勧めします。

参考文献:ギター・グラフィック 創刊号 ギブソン P-90 徹底研究

    :同 第2号 ギブソン・スモール・ハムバッカー徹底研究

    :リットーミュージック刊

派生品種のご紹介については、1980年のプライスリスト(日本版)、並びに同時期のミニカタログに掲載された品種とさせていただきます。

・LAID BACK は P-90 の後付品名のため、前述資料を参照ください。

・BJB-JAZZ はミニハムバッカーに類するため、本編では触れません。

1972年:スーパーハムバッカー の発表

この “スーパーハムバッカー” 誕生のエピソードは、調べてみると数々の初物(ギブソンの)が満ちていて、たいへん興味深いことが分かる。

1.オリジナル・ハムバッカーの派生モデルとしては、最初の製品。

2.マグネットにフェライト(セラミック)を採用した最初の製品。

3.共振(ハウリング)防止にエポキシ樹脂を含浸させた最初の製品。

4.Gibson社に招かれた ビル・ローレンス氏が手掛けた最初の製品。

  この時期のアシスタントを務めたのが、ラリー・ディマジオ氏。

スーパーハムバッカーは、見た目ではオリジナル・ハムバッカーと区別できない(但し L6-S はポールピースの見えないフルカバード仕様)。

しかし裏返すと、カバーの縁いっぱいまでエポキシ樹脂が充填されていることで、スーパーハムバッカーであることが、容易に判別できる。

構造は、2つのコイルボビンの下に3本のマグネットが配されており、強力な磁界を生んでいる。その効果で SG のサウンドは攻撃的でトレブリーさを増し、レスポールとのサウンドの差別化に成功している。

このスーパーハムバッカーは、70年代の SG、L6-S、ES-335TD 等に標準装備されているが、リプレイスメント用としても発売されている。

・L6-S のものは、ポールピース12本全てがソリッドスラグ。

・SG 用は単芯シールド、ES-335 用はタップ線が出ている。

・ES-345、ES-355 等の上位機種はオリジナル・ハムバッカー仕様。

参考文献:ギター・エレクトロニクス/ドナルド・ブロズナック 著

    :リットーミュージック刊(翻訳は小林たけし氏)

ダーティー・フィンガーズ の発表

この “ダーティー・フィンガーズ” にも何点かの初物がある。

1.ポールピース12本を全てネジ式とし、調整可能とした。

2.最初からカバーを持たないオープン・ハムバッカー仕様。

3.カバー無しを補うため、コイルを銅テープでシールド。

4.エポキシ樹脂充填の代りにワックスによるポッティングを実施。

 ・カタログ写真や説明では分からないが、コイルタップ線を有す。

  ※所有する検体の仕様にて確認。

ハイアウトプットで、クリーンなディストーションサウンドが作れ、ロックンロールに最適なピックアップ。と、カタログの記載にある。

ハードウェアに関しては、スーパーハムバッカーに近似しており、2つのコイルボビンの下に3本のマグネットが配されて、強力な磁界を得ている。※その他、定格等のカタログ記載内容は省略。

リプレイスメント・ピックアップとしてだけではなく、エクスプローラーⅡや ES-335-PRO 等、いくつかの製品にもマウントされている。

参考文献:ギター・エレクトロニクス/ドナルド・ブロズナック 著

    :リットーミュージック刊(翻訳は小林たけし氏)


画像は店主の所有する “ダーティー・フィンガーズ” ですが、カタログ写真と異なり、ポールピースはゴールドメッキされていません。

コンダクターケーブルは2芯でホットとタップですが、ホットに白線を用いているのが何とも紛らわしいこと。また位相反転できないため、フェンダー系と同位相の単芯ピックアップとの組み合わせはできません。

リプレイスメント・ピックアップとしては、もうひとつ頑張って4芯にして欲しかったですね。ちなみに英語圏の方は、最高のものやイカしているものに、反対の名前を付けるのが好きですね。バッド・カンパニーやコールド・ブラッド等、枚挙にいとまがありません。あの EMG社も創業時の名称は “ダーティー・ワークス” つまらん仕事。面白いです!

トゥルー・ブルース の発表


結構謎の多い品種で、価格表には載っているがミニカタログには無い。

ただリプレイスメント・ピックアップとして出回っていたのは確実で、

稀に e-bay ではデッドストック品を見かけることがある。

仕様的にはスーパーハムバッカーの派生品種で、構造は踏襲されているがセッティングは大幅に変わっており、インダクタンスと直流抵抗を下げて、反対に共振周波数は上げられている。そのため高域特性に優れ、

クリアーな音色を特徴としている。L6-S のスーパーハムバッカーと外見が酷似しているため、ギターに搭載された状態では見分けられない。

・単線をコンダクターケーブルに使用していることが変わっている。

・調べた範囲では、この製品を標準装備されたギターが見当たらない。

参考文献:ギター・エレクトロニクス/ドナルド・ブロズナック 著

    :リットーミュージック刊(翻訳は小林たけし氏)

画像は店主所有の検体なのですが、いくつかの疑問点が浮上したことで真贋を判定できない個体でもあります。ただ外観はオリジナルに極めて近いため、サンプル画像に使わせていただきました。その疑問点とは…

・ピックアップの位相が、ギブソンの標準仕様とは反転している。

 黒線はカバーやベースプレートに接続されているため、反転不可能。

・充填されたエポキシ樹脂が不透明。スーパーハムバッカーでは半透明

 で、ブリッジされたベースプレートやポールピースが透けて見える。

その反面作りは丁寧で、カバーとベースプレートのはんだ付け等は見事なものです。パチものでこれだけ忠実に作るものか?とも思わせます。

悪口ではありませんが、Greco の L6-S をコピーしたギターは、外観こそ L6-S を完璧に再現していましたが、ことピックアップに関しては

SCREAMIN' にポールピース穴の無いカバーを被せたものでしたから。

ヴェルベット・ブリック の発表

直訳すれば “ビロードの煉瓦” 。他にスラングでもあるのだろうか?

説明によると、高域は良く伸び、中域は量感豊か。低域はソリッド。

ゼブラのオープンコイルが標準仕様で、製品では THE SG のリアピックアップ等に採用されている。価格表の時点では製品化されていない。

THE SG も当初のカタログ記載では「TGA スーパーハムバッカー」と表記されていたが、名称の変更のみで同一の仕様であるとのこと。

参考文献:ギターマガジン/SG,もうひとつの歴史

    :リットーミュージック刊(1995年9月号)

シリーズⅡ~・ハムバッキング の発表

1980年頃の機種別カタログでは、RDアーチスト に「シリーズⅡ」ハムバッカーの装備が記載されている。また「シリーズⅦ」は、1975年に SG に搭載されたことまでしか分かっていない。資料によれば、

・フェライト(セラミック)マグネット使用

・ベースプレートを使用せず → 樹脂製のモールドカバーなのか?

・エポキシ樹脂充填

とある。ノーリン・ギブソンの末期は仕様の細分化が激しく、機種別の研究を進めないことには、ピックアップの仕様までたどり着けないことが多々ある。また、性能や画像等の資料にも乏しい。

参考文献:ギターマガジン/ギブソン・ハムバッカー仕様年表

    :リットーミュージック刊(1995年9月号)

スーパーハムバッカーの登場は1972年でしたが、リプレイスメント・ピックアップを揃えてカタログにまで発展させたのは、1980年代に入るまで待たねばなりませんでした。Nolin・Gibson社としても、創業から早くも 5年が経過し、軌道に乗ったディマジオ社や、後続のビル・ローレンス、マイティ・マイト、そしてセイモア・ダンカン等の新進ブランドを意識しないわけにはいかなかったのだと思います。

それ以後の展開については、改めて触れるつもりです。

                           2025 Aug. 2