部品名など、同じものを指す名称が複数あったり、中には怪しげなものもあるので、店主の見解を書き連ねてみます。
特にギブソン関係のノブの名称が、迷走しているようです。
70~80年代、コピーモデルが国内で隆盛を極めた頃、詳細さを増した解説に使われた名称の根拠が曖昧だったことに起因すると思われます。
米国内の名称と、由来の意味を検証して特定してみることにします。
<ハットノブ> ハット ≒ 帽子 に由来します。
トップハットノブの別称もありますが、シンプルにハットノブが適当だと思います。ゴールドとブラックが代表的です。ゴールドとブラックが代表的ですが、芯の部分の見え方(透け方)が違うためソリッドカラーのようにも見え、単なる“色ちがい”のノブに思えない特徴があります。
他の呼称:ベル(鐘)ノブ、ボンネットノブ
<バレルノブ> バレル ≒ 樽(タル)に由来します。
ずん胴な形状で指先でも簡単に回せることから、スピードノブの別称もありますが、形状が連想しにくいので、バレルノブの方が適当だと思います。こちらもブラックの方は、内部の形状が相殺されて、ソリッドカラーのように見えます。
<ソーサーノブ> ソーサー ≒ 皿(さら) に由来します。
メタルハットノブの別称もありますが、ハットノブと名称がダブるので、ソーサーノブの方が適当だと思います。ゴールドとブラックが代表的ですが、表記に「Volume」「Tone」の2種類あるうえ、メタルの地色にもゴールドとシルバーがあるので、購入の際に注意が必要です。
でもメタルのおかげで、色以外の違いは目立たなくなっていますね。
他の呼称:リフレクターノブ
<ソンブレロノブ> メキシコ民族衣装(帽子)に由来します。
アンプノブの別称もありますが、アンプに使われる場合は頂部の文字が無いのが普通なので、適当ではないと思います。
こちらも表記に「Volume」「Tone」の2種類あるうえ、メタル部と文字色にもゴールドとシルバーがあるので、購入の際に注意が必要です。
フェンダーでも、ジャズマスターやテレキャスター・デラックス等に採用されています。
<日本のお家芸でバレルノブも変身!>
バレルノブ自体、操作性の良い優秀なノブでしたが、それに更に改良を加えたノブが、80年代の国産ブランドに続々と採用されました。
刻みを付けたりラバーを被せたり、何れも滑りにくく、素早い操作の精度を高める効果を重視していることが特徴です。
Yamaha社のギターでは、ソーサーノブには刻みを付け、バレルノブの方にはグリップを高めるアレンジを施していましたね。
<アンプノブ 2態>
ソンブレロノブの項で引き合いにしたアンプノブは、こんなルックス。
ブラックパネル期のフェンダーアンプへの使用が代表的ですが、他にもメーカーを問わず、ラジオやTVに多用されていました。
60年代の国産ギターアンプ等にも多用されていましたので、微妙に異なる形状が無数に流通していました。
ここで紹介するのは、そのほんの一部です。
<使い分けの方が大切!>
ギターに装着されているときは同じに見えても、ノブを外して裏返すと、裏面の形状にはかなり差異がある場合があります。
これを品質の差異と片付けないで、前向きに捉えてみましょう。
例えばアーチトップのギターで、ノブの高さをよりボディ表面に近づけたい時などは、 左側のノブの方がシャフトに深く刺さり、より低いポジションに取り付きますね。僅かな違いでも操作性は大きく変わる場合がありますので、効果的な使い分けを考えてみましょう。